エルフリーデ

作;フミラ

 この作品は、リップシュタット戦役の2年前から新帝国暦19年までの足掛け23年間を、エルフリーデの日記という形を取って書いたものです。全部で銀河英雄伝説の単行本一冊分に相当する分量があります。あかびさん、素晴らしい挿絵を18枚もありがとうございました。
第1回記念式典に向かうアレクとフェリックスの眼前に立ちはだかる謎の女性の正体とは?
今、ミッターマイヤーの手によって、多くの謎をはらむ彼女の日記が開かれる…。
第2回帝国暦四八六年(宇宙歴七九五年)、一五歳のエルフリーデは台頭著しいラインハルト・フォン・ミューゼルに対する大伯父の計画を立ち聞きする。否応なく歴史の渦の中に巻き込まれていくエルフリーデ…。エルフリーデの周りで起こる人間模様を絡め、これまで謎に包まれていた彼女の半生が、今明らかにされる。
第3回宮廷の勢力争いによって翻弄されるあまたの人生…。その中にあってエルフリーデの蒼い瞳は何を見つめていたのか?
帝国暦四八七年(宇宙歴七九六年)、銀河は二人の天才の登場により、その歴史の歩みを急速に速めつつあった。そんな中、フリードリヒ四世の崩御によりゴールデンバウム王朝の勢力図も大きく変わろうとしていた。
第4回帝国暦四八八年(宇宙歴七九七年)、リップシュタット戦役の結末は思いも掛けぬかたちを取って訪れた。ラインハルトにとって、そしてエルフリーデにとって…。エルフリーデはまだ、これから自分に降りかかる運命を知らない。
第5回愛する者達の死…なぜ彼らは死なねばならなかったのか?彼らが何をしたというのか?エルフリーデの胸に復讐の炎が灯る。
「死んだら何も出来ない。家族の仇を討つことも、奪われたものを取り戻す事も。」
エルフリーデは自殺した従姉妹に誓う。私は決して自分から死んだりはしない、と。
第6回流刑地からの脱出に成功するエルフリーデ。そんな彼女にロベルト・フォン・マックスは忠告を送る。
「フロイライン、君の幸運を祈っているよ。ただ一つ、人生の先輩として忠告させて欲しい。君はもっと素直に自分の内なる声に従うべきだ。貴族だの身分だのにこだわっていると本質を見失う。そんなに突っ張って生きていては大切なものを失うよ。過去にしがみついていては駄目だ。前に進まなくては。」
第7回ラインハルトの即位に湧くオーディンへエルフリーデは帰ってきた。一族の仇に一矢報いる為に…。しかし彼女の手に握られたナイフは虚しく宙を泳ぐ。
「何者だ?地球教徒か?私を統帥本部総長と知っての狼藉か?」
それが「あの男」との出会いだった。
第8回ロイエンタール邸での生活…そこでエルフリーデはロイエンタールの中に何を見たのか?ロイエンタールは彼女に何を語ったのか?ミッターマイヤーは初めて知る。ラインハルトがロイエンタールに放った言葉を。
(何故一言、俺に話してくれなかったのだ、ロイエンタール?)
その一言を胸に秘めたまま逝ってしまった親友にミッターマイヤーは呼び掛ける。
第9回ラインハルトに従いロイエンタールは征路へ旅立つ。それを見送ったエルフリーデは己の身体の変調に気が付く。新帝国暦二年(宇宙歴八〇〇年)二月、自由惑星同盟は「冬薔薇園の勅令」により完全に消滅する。そして同じ頃、ロイエンタール邸のエルフリーデの存在にほくそ笑む人物がいた。
第10回ラインハルトはエルフリーデの一件でロイエンタールを罪に問わなかった。それを知り安堵するエルフリーデ…、それは如何なる感情によるものであったのか。そしてエルフリーデは母親になる。自分と生まれてきた子供の為にエルフリーデは賭に出た。しかしそこに待っていたのは…。
第11回「…あの男に会わせる顔がないわ…」
躊躇するエルフリーデをドミニクは地上車に押し込んだ。
「ハイネセンへ行くなら、今しかないの。今を逃したらもう二度と会えないのよ。」
と。
第12回新帝国暦二年(宇宙歴八〇〇年)一二月一六日、およそ一年ぶりにエルフリーデはロイエンタールに再会する。夕陽に染まる執務室、エルフリーデは気を喪ったロイエンタールの汗を拭き、その髪を撫でながら独白する。
「……お前は馬鹿よ。何度も、俺はあの方にはかなわないと言っていたくせに…」
第13回オーベルシュタインの草刈り、シヴァ星域会戦、帝国とイゼルローン共和政府との講和、ルビンスキーの火祭り、ラインハルトの死…歴史の流れは留まるところを知らぬかのように流れていった。そして訪れた一瞬の休息。ドミニクはエルフリーデに語った。自分の過去を。
第14回ドミニクの助けを借りて、エルフリーデはハイネセンで生きていく決意を固めた。
新しい政治体制の許で人々は各々の生活を営んでいく。
ロイエンタールの墓碑の隣で空を見上げるエルフリーデの上にも、星は変わらぬ輝きを投げかけていた。
第15回新帝国暦一〇年(宇宙歴八〇八年)、フェリックスは「父」ミッターマイヤーと共にハイネセンを訪れる。
「私のフェリックス、母様には、もう何も貴方にしてあげられないのかしら?」
その姿を見守るエルフリーデの胸に寂しさが去来する。
第16回横行する宇宙海賊。その後ろにいたのは…。思いがけない事実にエルフリーデは愕然とする。それは日記を読んだミッターマイヤーも同様であった。銀河に新たなる暗雲が立ちこめる。
第17回エルウィン・ヨーゼフ二世の計画とは?エルフリーデはスタジアムに向かって急いだ。フェリックスを救う為に。
第18回「…確かに、僕にはやってみたい事がありました。」
ミッターマイヤーに初めて明かされたフェリックスの夢。そしてフェリックスの苦悩。未来への祈りを込めて『エルフリーデ』遂に完結!!
後書きにかえて(1)『エルフリーデ』ロイエンタールバージョン前編。ロイエンタールの言葉で、エルフリーデを語る。
後書きにかえて(2)『エルフリーデ』ロイエンタールバージョン後編。ロイエンタールの言葉で、エルフリーデを語る。




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